まもなく電車が出現します 似鳥鶏 創元推理文庫

『理由あって冬に出る』、『さよならの次にくる〈卒業式編〉』&『さよならの次にくる〈新学期編〉』に続くシリーズ第3作が約1年10ヶ月ぶりに登場。 いわゆる日常の謎系な学園ミステリということで提示される謎自体はささやかではあるんだけど、そこはそれ丁寧に組み立てられたプロットと魅力的なキャラ造形、そしてユーモアたっぷりの語り口で読ませてくれます。 ちなみに今回は五篇の短編が収められてるんだ…

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花物語 西尾維新 講談社BOX

第変話 するがデビル 真宵メイン回と思いきやタイムトリップパラレルホラーストーリーだった『傾物語』から約3ヶ月、バサ姉が語り部だった猫物語(白)以来となる暦が語り部でないシリーズ第二弾が神原駿河語り部で登場。 ただそれほど違和感がなかったバサ姉の時と違い、明朗快活いつも元気でBダッシュな神原のイメージとは180度真逆といっていい内省的で自虐的な姿が描かれたのは素直に驚きだったし違和感…

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キケン 有川浩 新潮社

ごく一般的な工科大学の数ある部活の一つである「機械制御研究部」、通称【機研(キケン)】。 これはその【機研】黄金期、今となってはレジェンドとなった時代を過ごした若者たちの物語である。 有川浩ならではの抜群のリーダビリティをもって超ゴキゲンに疾走する青春グラフティの快作。 個人的には回想形式があんま好きじゃないってのもあって?と思っていた構成だけど、いやあラストの見開きで大なっとく。…

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ゼロの使い魔 18 〈滅亡の精霊石〉 ヤマグチノボル MF文庫J

今回はここ最近のストーリーの停滞が嘘のように一気に話が進行、そういう意味で読ませはしたんだけど、たださすがにこれはちょっと急展開すぎないかと。 あんだけ引っ張った鉄仮面ネタをあっさり解決、実は教皇もジュリオもハルキゲニアの人々を救うためにやっていたんだよとか言われてもなあ。 もちろんヴィットーリオに関してはまだ裏がある可能性はあるんだけど、ジュリオのキャラの変わりっぷりは正直ついていけな…

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ヤーンの選択 グイン・サーガ125 栗本薫 早川文庫JA

巡礼団と共にヤガを目指す途中で騎馬の民に襲われたヨナはスカールに助けられ九死を得るのだが……。 今回もまたたいして話が進んだというわけではないんだけど、グイン、ナリス、ヴァレリウス、リギア、グラチウス、そしてイシュトヴァーン、因縁も含めて思いの外共通の知り合いが多いスカールとヨナのやりとり自体はなかなかに興味深いものが。 なかでも実はいまだ本当の意味では北の豹と南の鷹は逢って…

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2008年小説ベスト10

2008年に読んだ本のベスト10(3+7)を選んでみました 1位 テンペスト 上 若夏の巻 テンペスト 下 花風の巻 池上永一 角川書店(2008年8月刊) 珊瑚礁王国の美少女・真鶴は性を偽り、宦官になる―――― 2008年ベスト1は、末期琉球王朝を舞台に男と女で揺れ動くヒロイン真鶴の数奇な人生を描いた疾風怒濤の歴史ロマン。 一読巻を置くに…

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風雲への序章 グイン・サーガ123 栗本薫  ハヤカワ文庫JA

シルヴィアの問題を契機に皇帝アキレウスはついに我が息子たるグインに全権を委譲することを決断、名実共にケイロニアの豹頭王として君臨することになったグインの治世が今ここに始まる。 一方、ゴーラでは自ら建設したイシュタールでグインに負わされた怪我を癒しながらもイシュトヴァーンが新たな野望を燃やしていた―― 著者曰く 「本当の本編」というのは、グイン王率いるケイロニアVS.イシュトヴァ…

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9S<ナインエス> memories 葉山透  電撃文庫

『9S〈ないんえす?〉SS』に次ぐ9Sシリーズ二冊目の短編集は、それぞれの色合いが違うシリアスさが特徴の三編からなる外伝集。 由宇の今と変わらない優しさが切ない「夏の日になりたい」、なかでは一番コミカルな麻耶と闘真の初めての出会いを描いたお惚気冒険ストーリー「Romantic holiday」、「電撃hp」に掲載された二編も読みごたえはなかなかなわけだけど、やはり今回の白眉は9Sという…

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豹頭王の苦悩 グイン・サーガ122 栗本薫 ハヤカワ文庫JA

かくしてシルヴィアは売国妃となったのであった――――。 とまあ今回はそういうお話。 前巻に引き続き読んでいてひたすら暗澹とした気分になったわけだけど、前巻と違うのはけしてつまらなくはなかったこと。 たしかにまったくといっていいほど救われない話ではあったのだけれど、ケイロニアの良心というべきロベルトとあいかわらず駄目すぎるハゾスとの、そしてグインとパリスの牢でのやりとりは読みごた…

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サイロンの光と影 グイン・サーガ121 栗本薫 ハヤカワ文庫JA

記憶の不備を抱えたままパロを立ち帰国の途につくグインとその一行、しかしてグインを迎えたのは歓喜だけではなかった――― というわけで今思えばそれなりに面白かった「旅立つマリニア」より2ヶ月おいて発売された今巻は久々にこれは酷いというお話が展開、読んでいて実にうんざりしたことであるよ。 というか2章までは普通につまらないだけなんだけど、3章以降、特に4章は不愉快さも加わって読み心地は…

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2008年3月に読んだ本

武士道シックスティーン 誉田哲也 文藝春秋 今月の傑作その1 武蔵マニアで剣道一筋、勝つことこそがすべての磯山香織と、日舞出身でちょいと天然風味勝つことにあまり拘りがない西荻早苗。 正反対な性格な二人が剣道を通じて絆を深めていくという青春(ちょっと熱血)ストーリー。 いやもうこれが面白いのなんの、読み出したら止まらない面白さとはまさにこのことかみたいな。 …

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不気味で素朴な囲われた世界 西尾維新 講談社ノベルス

『きみとぼくの壊れた世界』から約四年ぶりとなるシリーズ第2弾。 といっても世界観が一緒と言うだけで登場人物はオール新キャラなのでこちらから読んでもおおむね問題はないかと。 いやまあ、正確に言うと前作からのゲストキャラが少しだけ登場須するので出来るなら前作も読んだ方がベターではある。 さて、本編。 前作よりは酷いことにはならないだろうとと高をくくって読んでたら、やってくれる…

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2008年2月に読んだ本

木洩れ日に泳ぐ魚 恩田陸 中央公論新社 最後の夜を迎えたある男女二人が明かす一夜を描いた恩田陸ならではミステリー。 緊張感のある会話がとにかく絶妙で読ませます、きっちり決着が付くのも良いやね。 密室キングダム 柄刀一 光文社 2008年版このミス16位。 密室に拘った二千枚に及ぶ長編本格ミステリ。 とにかく力作であることは伝…

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ランドックの刻印 グイン・サーガ 119 栗本薫 ハヤカワ文庫JA

本を読み終わってここまで呆然としたのは久しぶりというかこのわき上がる感情をどう表現すればいいかわからないというか。 だってさ ノスフェラスで目覚めたのも、イシュトヴァーンと戦ったのも、スカール、フロリー、スーティー、アストリアス、リギア、ブランと出会ったのも、コングラスに寄ったのもマリウス一座で大受け取ったのも、そしてあれだけ引っ張りに引っ張ったタイスでのこともすべて(タイス伯爵にな…

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2008年1月に読んだ本

赤朽葉家の伝説 桜庭一樹 文藝春秋 今月の傑作 圧倒的な筆力で読ませる女系三代クロニクル。 なかでも桜庭一樹の作家性が爆発した感のある第二部が素晴らしい。 私の男 桜庭一樹 文藝春秋 今月の問題作 ご存じ第138回直木賞受賞作。 どうしようもない男と女の業を極限まで描きあげた衝撃作。 とはいえ、好みとは言い難いかな。 …

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世界平和は一家団欒のあとに 橋本和也 電撃文庫

第13回電撃小説大賞〈金賞〉受賞作の超能力ホームコメディ。 さすがに金賞受賞作だけに、それなりに読める話にはなってます。 ただなあ、奈須きのこと佐藤友哉と西尾維新と谷川流を足して4で割った感じというか。 特に主人公軋人の能力は『直死の魔眼』としか読めないなど、オリジナリティに課題が残る仕上がりなのが少し残念。 とはいえまだ一作目だし、新人のわりに文章は悪くないと思うん…

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2007年下半期ライトノベルサイト杯投票

2007年下半期ライトノベルサイト杯、上半期は参加できなかったので一年振りに参加します。 新規作品部門 インシテミル 米澤穂信 文藝春秋 感想はこちらから 【07下期ラノベ投票/新規/9784163246901】 私の男  桜庭一樹 文藝春秋 どうしようもない男と女の業を極限まで描ききった問題作。 直木賞まで取った作品に今さらだけ…

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2007年小説ベスト10

2007年に読んだ本のベスト10(3+7)を選んでみました。 1位 化物語 上下 西尾維新 講談社BOX(2006年12月刊) 2007年、最高に笑った小説。 戯言シリーズと匹敵するというかバランスを考えると著者の最高傑作と言えるんじゃないだろうか。 2位 スロウハイツの神様 上・下 辻村深月 講談社ノベルス(2007年1月刊) …

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クリスタルの再会 グイン・サーガ118 栗本薫 ハヤカワ文庫JA

10月から3ヶ月続いた月刊グイン・サーガもとうとうラスト。 ようやくの、グインとリンダの再会がなったわけだけど、とにもかくにも長かった。 グインが一端記憶を無くしてから巻数にして23巻、時間にして3年半。 まあ、3年半で23冊を出すのは凄いっちゃ凄いんだけどさ。 ちなみに内容としては、マリウスが、ヴァレリウスが、ブランが、リンダが、ついでにグインまでとにかくしゃべってしゃべっ…

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11月に読んだ本

インシテミル 米澤穂信 文藝春秋 今月の傑作。 ミステリ心溢れるガジェット満載の本格ミステリ(ちなみに今年のこのミス10位)。 今回は珍しくちゃんと感想を書いてみました、感想はこちらから。 ふたつめの月 近藤史恵 文藝春秋 『賢者はベンチで思索する』の続編。 刀語 第8話 微刀・釵 西尾維新 講談社BOX シリ…

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10月に読んだ本

映画篇 金城一紀 集英社 今月の傑作その1 帯の 今すぐ映画が見たくなる。今すぐ誰かに読ませたくなる。笑いと涙と感動が詰まった、完全無欠のエンターテインメント というのもあながち嘘でもない面白さ。まあ完全無欠はどうかと思うけど。 なかでも第1話の「太陽がいっぱい」はまさに傑作の名にふさわしい作品に仕上がってます。 構成がまた巧いんだ。 青年のための読…

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マリア様がみてる フレーム オブ マインド 今野緒雪 コバルト文庫

「バラエティギフト」、「イン ライブラリー」に続く番外編パート3は写真にまつわる姉妹たちのエピソードを描いた短編集。 決着までまだ引っ張るんかいと思いつつ読んでたんだけど、いやこれはなかなか。 なかでも、すれ違う気持ちをどうしようもないほどの痛々しさで描き出した「不器用姫」が素晴らしい。 後、少し不思議で素敵なストーリー「四月のデジャブ」も良いやね。 ちなみに『マリア…

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9月に読んだ本

サクリファイス 近藤史恵 新潮社 今月の傑作その1 自転車ロードレースを題材にした著者渾身のスポーツ・ミステリー。 ネタバレになるから何も言えないが、タイトルと不可分に結びついた真相、そして余韻のあるラスト。 おそらく今年のこのミスで上位を争うのは間違いない傑作。 ミノタウロス 佐藤亜紀 講談社 今月の傑作その2 ロシアの田舎地主の息…

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8月に読んだ本

朝日のようにさわやかに 恩田陸 新潮社 ミステリー、SF、ファンタジー、ホラー、童話などなどあらためて恩田陸の才能を感じさせるバラエティに富んだ短編集。 きつねのはなし 森見登美彦 新潮社 緩やかにつながった四つの物語を収めた完成度の高い連作ホラーファンタジー。 なかでも好きなのは「果実の中の龍」かな。 水神の祭り グイン・サーガ…

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水神の祭り グイン・サーガ115 栗本薫 早川書房JA

まだまだ続くタイス編。 展開的にはあいかわらずのペースなんだけど、脱出方法がやっと見えてきたあたりに一縷の希望が。 実際、フロリーが伯爵に捕まったということを逆手に取った計画はなかなか。 ひたすら鬱陶しかったタリクやアン・シア・リンの出番が無かったという一点でも前回よりかはマシかと。 ただ、この展開だとどうやらガンダル戦はなさそうなんだけど、さて。 後は、なんだかんだ言いつ…

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7月に読んだ本

日本沈没 上下 小松左京 小学館文庫 今読んでもまったく古びないパニックSFの傑作。 鏡の国の戦士 グイン・サーガ外伝21 栗本薫 早川書房JA 『七人の魔導師』から少し後という時代設定の外伝。 雰囲気は悪くない。 刀語 第四話 薄刀・針 西尾維新 講談社 この構成にはやられた(笑)。 コーンクリー…

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ミラージュの罠 クラッシュ・ブレイズ 茅田砂胡 中央公論新社

クラッシュ・ブレイズシリーズ最新刊。 『ソフィアの正餐会』のザック・ダグラス再登場の巻。 旧交を温めるダグラスとリィの前に現れる謎の襲撃者ということでまたしても騒動に巻き込まれるリィとその愉快な仲間たち(キングとジャスミンはお休みだけど、レティーとヴァンツァーは登場)みたいな。 今回はいちおうエスピオナージュ仕立てではあるんだけど、そこはそれいつものノリで軽快に読ませます。 …

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6月に読んだ本

葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午 文藝春秋 再読。ほんと超絶技巧。 グラスホッパー 伊坂幸太郎 角川書店 再読。 やっぱどうしても好きになれない。 Lady,GO  桂望実 幻冬舎 リーダビリティ抜群のキャバ嬢サクセスストーリー。 まずまずかな。 桂望実『県庁の星』の感想はこちらから マリア様がみ…

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紅鶴城の幽霊 グイン・サーガ114 栗本薫 ハヤカワ文庫JA

今回はクムの大公タリクに勝手に惚れられたフロリーが、タイ・ソン伯爵とその娘アン・シア・リン(口絵は素晴らしい)の逆恨みを買ってさあ大変というお話。 終わる気配を見せないタイス編に少なくない読者がいい加減うんざりとしているこのタイミングでまるまる一話使ってフロリーの話をやるあたりがさすが栗本薫だなと思いました、以上(笑)。 いや、これ以上書こうとすると愚痴になるので今回はこのへんで…

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5月に読んだ本

配達あかずきん 成風堂書店事件メモ 大崎梢 東京創元社 感想はこちらから 晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ(出張編) 大崎梢 東京創元社 シリーズ第二作。一作目よりは好印象。 中庭の出来事 恩田陸 新潮社 第20回山本周五郎賞受賞作。 ある意味ひじょうに恩田陸らしい小説ではある。 刀語 第一話 絶刀・鉋 西尾維新…

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