まもなく電車が出現します 似鳥鶏 創元推理文庫

『理由あって冬に出る』、『さよならの次にくる〈卒業式編〉』&『さよならの次にくる〈新学期編〉』に続くシリーズ第3作が約1年10ヶ月ぶりに登場。 いわゆる日常の謎系な学園ミステリということで提示される謎自体はささやかではあるんだけど、そこはそれ丁寧に組み立てられたプロットと魅力的なキャラ造形、そしてユーモアたっぷりの語り口で読ませてくれます。 ちなみに今回は五篇の短編が収められてるんだ…

続きを読む

花物語 西尾維新 講談社BOX

第変話 するがデビル 真宵メイン回と思いきやタイムトリップパラレルホラーストーリーだった『傾物語』から約3ヶ月、バサ姉が語り部だった猫物語(白)以来となる暦が語り部でないシリーズ第二弾が神原駿河語り部で登場。 ただそれほど違和感がなかったバサ姉の時と違い、明朗快活いつも元気でBダッシュな神原のイメージとは180度真逆といっていい内省的で自虐的な姿が描かれたのは素直に驚きだったし違和感…

続きを読む

のだめカンタービレ 22巻 二ノ宮知子 講談社コミックスキス

作者の妊娠、出産による産休、手根管症候群、そして今巻分には関わってないけど盲腸ととにかくいろんなことがあった長い長い1年間を経てついにようやく22巻が発売されることに。 さて今巻は雑誌では13ヶ月前の掲載となるLesson125からのだめがエジプトにぶらり途中下車するLesson130までを収録。 のだめカンタービレ #22 (講談社コミックスキス)posted with…

続きを読む

弱法師 中山可穂 文春文庫

「報われない恋」というテーマの中編を三編収めた作品集。 今回はレズビアン的要素を抑えているのが特徴というか。 表題作(弱法師と書いて「よろぼし」と読む)も悪くないが何と言っても白眉は「卒塔婆小町」。 自暴自棄になった主人公が捨てた原稿をホームレスの老婆が拾うシーンから始まり人の業というものを凝縮したような終わりを迎える編集者と作家の壮絶な物語は圧巻としか言いようがない。 …

続きを読む

のだめカンタービレ 21巻 二ノ宮知子 講談社コミックスキス

20巻発売から五ヶ月ぶりの新刊は、ベーベからの卒業を無邪気に喜ぶのだめが今読むとなかなか切ないLesson119からミルヒー格好いいよミルヒーなLesson124までを収録。 のだめカンタービレ #21 (21) (講談社コミックスキス)posted with amazlet at 08.08.13二ノ宮 知子 講談社 (2008-08-11)Amazon.co.jp で詳細を見る …

続きを読む

僕僕先生 仁木英之 新潮社

第18回ファンタジーノベル大賞を受賞した中国版ニートの成長小説でもあり恋愛小説でもある中華ファンタジー。 いい意味での軽さを感じさせる文体などいろいろツッコミ受けそうな作風だけどこの伸びやかさは文句なく買い。 きっちりと中国物の基本は抑えつつ、見事なまでのハッピーエンドが実に気持ちいい。 個人的にツボにはまったのはヒロインの美少女仙人僕僕先生と主人公王弁との軽妙な掛け合い。 特に…

続きを読む

のだめカンタービレ 20巻 二ノ宮知子 講談社コミックスキス

四ヶ月ぶりの新刊は、明暗分かれた清良&ターニャの二次予選を描いたLesson113から優しく甘いキスシーンに萌えるLesson118までを収録。 のだめカンタービレ #20 (20) (講談社コミックスキス)posted with amazlet at 08.08.13二ノ宮 知子 講談社 Amazon.co.jp で詳細を見る いろいろあったコンクールも一段落、…

続きを読む

不気味で素朴な囲われた世界 西尾維新 講談社ノベルス

『きみとぼくの壊れた世界』から約四年ぶりとなるシリーズ第2弾。 といっても世界観が一緒と言うだけで登場人物はオール新キャラなのでこちらから読んでもおおむね問題はないかと。 いやまあ、正確に言うと前作からのゲストキャラが少しだけ登場須するので出来るなら前作も読んだ方がベターではある。 さて、本編。 前作よりは酷いことにはならないだろうとと高をくくって読んでたら、やってくれる…

続きを読む

のだめカンタービレ19巻 二ノ宮知子 講談社コミックスキス

五ヶ月ぶりの新刊発売。 今回は限定版なしということで通常版オンリー。 さすがに毎回やるとくどいからとか? さて内容の方だけど、千秋とのだめのベタ甘な仲直りを描いたLesson107から清良のいるウィーン小旅行を挿んで、カントナ国際コンクール編序盤のLesson112までが収録。 千秋、のだめ、黒木君、ターニャ、ユンロンとパリ編のレギュラーメンバーに加え、ファンには嬉し…

続きを読む

笑う怪獣 ミステリ劇場 西澤保彦 新潮文庫

怪獣や宇宙人や改造人間が特に何の脈絡もなく出てくるバカミス系連作短編集。 内容が内容だけに、装画、挿絵が喜国雅彦ってのが実にはまってます。 正直、前半はただくだらないだけだったけど、エログロさや、不条理感が控えめな後半の二つは良かった。 特に「女子高生幽霊綺譚」は女子高生幽霊がレギュラーになった続編があれば読んでみたいぐらい。 まあ、続編が出る気配はまったくないのだけど。 …

続きを読む

悪党たちは千里を走る 貫井徳郎 光文社

ジャンルとしてはいちおう誘拐物になるんだろうけど、ドジで愛すべき悪党たちが活躍するユーモアピカレスクとしても読めるところがミソ。 軽妙な文体、二転三転するストーリー、好感の持てるキャラクター造形と三拍子揃ったひじょうにレベルの高いエンターテインメントに仕上がってます。 デビュー作の『慟哭』以降、どちらかというと重い作品が多い(『修羅の終わり』とか『神のふたつの貌』とか)貫井徳郎の中で…

続きを読む

のだめカンタービレ 17巻 二ノ宮知子 講談社

マルレ・オケの定期演奏会でいちおうの成功を見せた千秋だが……。 今回は千秋の父親、千秋雅之が本格的に登場するんだけど、この父子関係がかなり複雑。そしてこれが千秋の指揮にも影響を及ぼすわけで。 一方、のだめはヨーダことオクレール先生の元で着実に成長していく。 生き急ぐ千秋とあくまでマイペースなのだめとのすれ違い生活、千秋のコンサートでの失敗などわりと鬱展開が続くわけだけど、展開的…

続きを読む

オーレ! 1巻 能田達規 新潮社

『おまかせ! ピース電器店』、『ORANGE』と主にチャンピオンで活躍していた能田達規がコミックバンチに移籍してスタートさせた『ORANGE』と同じく二部リーグを舞台にしたサッカー漫画。 この漫画のユニークなところは、サッカー選手ではなくスタッフ、それも市役所から地元チーム上総オーレに出向してきたエリート公務員中島が主人公なところ。 最初はサッカー版『県庁の星』みたいな話になるの…

続きを読む

ソフトタッチ・オペレーション 西澤保彦 講談社ノベルス

久々に出たチョーモンイン・シリーズ最新刊。 メインはやはり、中編というべき表題作の「ソフトタッチ・オペレーション」。 妄想過多な主人公のおかげで気楽に読めます。まずまずのハッピーエンドってのも嬉しいところ。 ちなみに他の短編はいかにも西澤保彦らしい後味の悪さが標準装備(笑)。 極めつけは動機が実にグロテスクな「闇からの声」かな。 とまあ、全体的にまずまず面白かったんだけど、…

続きを読む

零崎軋識の人間ノック 西尾維新 講談社ノベルス

零崎一賊を描く待望の戯言シリーズ外伝新作。 今回のメインは『愚神礼賛』(シームレスバイアス)の零崎軋識なんだけど見事なまでに影が薄い。強いて言えばMっぷりが目立つぐらいか。 とはいえ、その分脇役が豪華。 磨きがかかった変態ぶりの双識(妹へのこだわりは人間試験につながってるわけね)、いーちゃんに出会う前の人識、大切なものを失ってしまった子荻ちゃん、他にもあんな人やこんな人なども登…

続きを読む

女子高生、リフトオフ!―ロケットガール 1 野尻抱介 富士見書房

女子高生が、体重が軽いという一点で宇宙飛行士になって宇宙を目指すというお話。 コミカルな展開で突っ走るかと思いきや、ディティールは細部まできっちり詰められていて、お話のリアリティをきっちり支えています。 ロケットの打ち上げが近づくにつれ、ヒートアップする高揚感が素晴らしい。 もしかして、ヒロインの魅力が足りないという人もいるかもしれないけど、ゆかりのキャラクターが本格的に立ってくる…

続きを読む

一週間のしごと 永嶋恵美 東京創元社

拾い癖のあるヒロインが、よりによって子供を拾ってきたところから主人公の波乱に満ちた一週間が始まる。 一週間のしごとposted with amazlet on 06.10.19永嶋 恵美 東京創元社 Amazon.co.jp で詳細を見る 等身大の主人公に、屈託のないヒロイン。そして、気の置けない友人との高校生活。 最初はごく普通の青春ミステリかと思って読んでたんだけど、ど…

続きを読む

座敷童にできるコト 6 七飯宏隆 電撃文庫

シリーズ最終巻。 圧倒的な力を持つイザナギの前に次々と斃れていく仲間たち。 悲壮な展開の中で、一人一人のキャラクターに見せ場がきっちりとあるところが良かった。 特に夕琴の決意と優しさには泣けて泣けて。 そしてクライマックス、克喜の決断によって物語は閉じる。 このさきネタバレ ここから 「またこの部屋でだらだらと過ごすんだ」 叶わなかった未麟と克喜の約束。 …

続きを読む

座敷童にできるコト 5 七飯宏隆 電撃文庫

日本神話を下敷きにしたSFファンタジーもとうとう5巻。 わりとコミカルに進んできた物語も佳境を迎え一気にシリアス度がアップ。 次々と明らかになる真実、座敷童の本当の役割などなど事態は急展開する。 特に後半からの怒濤の展開は圧巻。不利を一気にくつがえす鞘月の活躍がカタルシス抜群。ほんとシリーズが進むにつれどんどん面白くなっていくよなあ。 敵、味方が逆転した中で、万里小路たちを守って…

続きを読む

座敷童にできるコト 4 七飯宏隆 電撃文庫

九州から転向してきた謎の転校生、帯刀。成り行きから克喜は、帯刀と生徒会長の座を争うことになる。 三人組を巻き込んだ生徒会選挙がスラップスティックなノリで楽しい。ただ、座敷童関連のメインプロットのほうの状況がだいぶ錯綜としてきたかな。 座敷童の力を持たないが故の強さを発揮しはじめる未麟。 これはもしかしてワラシモドキに加えて全座敷童、そして夕琴さえも敵に回すという展開になるのだろうか。 …

続きを読む

怪盗グリフィン、絶体絶命 法月綸太郎 講談社

ミステリーランド第9回配本。このシリーズを読むのは麻耶雄嵩『神様ゲーム』以来かな。 第一部こそメトロポリタン美術館から絵を盗み出すという怪盗モノっぽい話なんだけど、第二部からは意外な展開をみせる。 このさきネタバレ ここから タイトルから連想する怪盗を主人公にしたピカレスクロマンと思わせておいて、実はスパイ小説として展開するとはね。後、腕利きの泥棒を捕まえて無理やり言うことを…

続きを読む

ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典 西尾維新 講談社ノベルス

密室本『クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子』以来の袋とじ仕様。 前書きで作者自ら語っているように、基本的に蛇足であり、完全にファン向けの制作秘話、裏話。 かといって、読めばすべての謎が明らかになるというわけでもない。とにかくやたら多い「詳細不明」などなど細かいところにつっこむのは野暮というものだろう。 でまあ、ファンの一人としてはじゅうぶん楽しませて貰ったので満足でした。 …

続きを読む

あんどーなつ 1・2巻 原作 西ゆうじ 作画 テリー山本 小学館

和菓子に魅せられたのがきっかけで和菓子職人を目指すことになった安藤奈津の成長物語。 基本は下町を舞台にした人情噺なわけだけど、いかにも地味だけどじっくりと丁寧に描かれた作画があいまって実に読ませます。 ただ2巻あたりからはあざといほどの敵役が登場。 このへんやりすぎるとマンガの雰囲気を崩しそうなのが微妙なところかな。 まあ、連載読んでる限り大丈夫そうな気はするけど。 …

続きを読む

少女ファイト1巻 日本橋ヨヲコ 講談社

傑作『G戦場ヘヴンズドア』から二年半、待望の単行本がついに発売!! かなりの量の連載漫画を並行して読んでいるのだけど、もっとも楽しみな作品ベスト3の1つ(他2つは最終回が近い最終回を迎えた『ハチミツとクローバー』、イシュヴァール編が実に読み応えがあった『鋼の錬金術師』)がこの『少女ファイト』だったりするわけで。 今回の新作は、バレーボール漫画。 へえ、スポーツ漫画で来ましたかと…

続きを読む

座敷童にできるコト 3 七飯宏隆 電撃文庫

面白かった。 1巻はそれほどでもなかったんだけど、巻を追うごとにどんどん面白くなっていってる。特にキャラクターの魅力が大きい。 ラブコメ部分もなかなか良いんだが、なんと言っても脇役があいかわらず良い味出しまくり。 万里小路のために黒コートを脱ぎ捨てて立ち上がる林副団長と黒薔薇騎士団のあたりとか馬鹿馬鹿しくも実にかっこいい。舞台が鎌倉ってのも個人的にお気に入り。 設定と絡んでくるメイン…

続きを読む

きみとぼくの壊れた世界 西尾維新 講談社ノベルス

病んでる、とことんまで病んでる。『恋風』どころじゃないなこの兄妹とか思ってたんだけど、そうかそう来るか。 一見、何もかもがうまくいってるように見えて、その隙間からは果てしない虚無が広がってるラストがすさまじい。主人公の抱えてる闇が最後までまったく癒されず、壊れたまま世界は続く。 ミステリー部分とかはもうどうでもいいやね。エロゲ的な道具立ても主人公のモテモテぶりも、このラストを読めば全…

続きを読む

さくら 西加奈子 小学館

2006年本屋大賞落選記念レビュー。 何、この鬱小説。 語り口と内容のギャップが大変気持ち悪く、作者の独特な感性も生理的に受け付けない。 ストーリー的にはある意味サプライズな展開なんだけど、それは人としてどうよみたいな。 しかも最後は、強引にハッピーエンド。 時折、良いシーン(さくらが貰われてくるシーンとか)もあるんだけどそれを差し引いてもこの小説はちょっと。 公…

続きを読む

座敷童にできるコト 2 七飯宏隆 電撃文庫

前作はいろいろ文句つけたけど、今回はなかなか面白かった。 電波三兄姉妹だけではなく、脇役までキャラが立ってきてるのが良い。 特に「高千穂庵争奪戦」は『蓬莱学園』とか、『究極超人あ~る』とか、『うる星やつら』のそれもTV版を彷彿とさせるようなノリで実に面白かった。このまま学園ドタバタをメインにすればいいんじゃないだろうかって思ったよ。 ちなみに、もともと影が薄い薄幸な主人公とメインヒ…

続きを読む

座敷童にできるコト 七飯宏隆 電撃文庫

序盤は同居物コメディで、後半からバトル物へと展開。 電波キャラの描写とか、妙に凝った世界設定などなど、作者が頑張ってるのは伝わってくるんだけどそれが面白さに直結してないのが問題というか。 全体的に欲張りすぎて詰め込みすぎなのも問題かな。 終盤の展開とか読むとかなり壮大な伏線を張ってるみたいなんだけど、現時点ではだからどうしたみたいな。 とりあえず続編次第なんだろうけど、かなり…

続きを読む

白人萌乃と世界の危機 七月隆文 電撃文庫

…………バカだ、バカすぎる(笑)。 でも、目が、目がぁっていうラピュタネタに爆笑してしまったので、個人的にはオッケー。 基本的に戦隊物コメディーなんだけど、文章はなかなか。終盤、王道路線でけっこう燃えるところもあるし。 ただ、あのあとがきの使い方はどうなんだろうな。 ちなみに、戦隊物&ヒーロー物コメディと言えば、『アニレオン』、『図書館戦隊ビブリオン』あたりを思い出すのだけど…

続きを読む